スローグッドバイ 著者名:石田衣良(著)
出版社:集英社
出版年:2005.05
ISBN :9784087478167
爽やかそうな表紙につられて、避けに避けていた石田衣良に初挑戦。
この人は、『池袋〜』シリーズで人気を博していたのも知っているし、
恐ろしいほどテレビ露出度が高い作家さん。不思議だが。
見かけも無難であるし、小難しいこと言わない、不思議なしゃべり方は、
興味深かったりする。
しかし、代表作などのドラマの原作に使われてしまう作品群を眺めていて、
読む気はしなかった。けれども、恋愛もので、
短編なら読めるでしょう、ってことで本作を手に取る。
予想通り、怖いくらいの軽くてふわふわした作品。
性的に奔放な女性や、失恋に苦しむ女性や、
心通わすコールガールや、チャットで知り合った女性とか
扱われている素材だったり、感覚は、普通というか現代の中でも、
落ち着きいいものばかりで、違和感なく、戸惑いなく読めた。
本人曰く
ちょっと甘口でいいから、読み終わったあとで心地よい酔いを残すようなラブストーリーにしたいなとのこと。
読んでみると、この趣旨も理解できます。
表題作である「スローグッドバイ」が一番リアリティがあって、
爽快でスッキリとした読後感だった。
上手に別れること…
それは、「発展的かつ爽やかな恋愛関係の解消」であって、
具体的には「さよならデート」でバイバイをすること。
意図的であるかどうかは定かではないけれど、
心理描写を省き、横浜の休日デートという爽やかな空気感をそのまま描くだけで、
読み手の想像を刺激して、ちょっぴり切なさを誘う。
セックスも喧嘩もなくて、暗い要素は見当たらない。
後に待ち受けるは、さよなら。
笑顔の涙じゃないけれど、爽やかな涙はやっぱりじんわりくるもんだ。
