砂の城 著者名:遠藤周作(著)
出版社:新潮社
出版年:1979.12
ISBN :9784101123127
これまた青春もの。
ある女の子が成長していって、その周りの人々もそれぞれの道を歩いて行く。
それぞれが自分の道を信じて、頑張るんだけれども、
一番仲のよかった女友達は、恋愛に突っ走って、
いつの間にやら塀の中。
ほのかな恋心を抱いた男性は、ある思想に染まって
その活動に必死。
ちなみに、砕いて書いているから、ゆるゆるだけど、
遠藤周作だから軽い小説でも、真面目でしっかりとした話。
本題「砂の城」は、主人公が、友人たちと観た海外線の風景。
まだ大学生で、舞台である長崎から離れるとはつゆも考えていなかったが、
これからの彼らの青春を表すのが、「砂の城」。
崩れるとは分かっていても、必死に砂をかき集めて築くもの。
城という、一つの立派な理想を実現するために。
帯には、わかりやすいキャッチフレーズ。
憧れは裏切られ
理想は傷つけられる
それでも人は生きてゆく
はて。青春とはそのようなものなのか
個人的なことだけど、最近友人に
「若いころからその落ち着きだったんでしょ?青春なさそうだよね。」
といわれ、
「ちゃんとありました」
と答えた。
だけど、ここで言ったぼくの青春とは、不毛な遊びに精を出していた、という意味。
憧れに向かって、理想に燃えて、汗かいたかと言われれば、
むしろ冷ややかであったわけで、友人の言葉もあながち間違いでなかったわけだ。
本当は、本作の登場人物のように、理想に燃えて、
もがいて苦しんだ姿こそ、素敵なはずで。
青春だよな、とか思う。
なんだか、太宰の言葉を思い出す。
大人とは裏切られた青年の姿である
(正確でないかもしれないし、出典は記憶なし)とかいってたよな。
主人公の心の中では、亡き母のいっていた
「美しいものと、けだかいものへの憧れだけは失わないでほしいの」(p.49)
という言葉が、常に響いていて、その通り生きている。
美しいものとか、けだかいもの、とか
今の時代じゃあ、気恥ずかしい響きをもつもの
かもしれないし、自己満足だったり、
美しいという基準さえあやふやだったりするけれど、
そういう志をもってて悪くはないな、とか思う。
なんか疲れているせいか、思ったことの羅列になってるなぁ。
でも、それくらい色んなことを自分に照り返して考えてしまうような本なのです。
