淳之介さんのこと 著者名:宮城まり子(著)
出版社:文芸春秋
出版年:2003.04
ISBN :9784167656621
吉行淳之介についてもっとしりたい、と思い本書を手にした。
つまり彼のゴシップというか、生活がどんなものだったか、といういやらしい覗き趣味からです。
そういう意味では、本書は役に立たないでしょう。
吉行について知りたいなら、彼を扱った評伝やら巻末についてそうな年表の方がためになるかもしれません。
また吉行、宮城に興味を持たない人間であれば、この本が目に入ることはないでしょう。
僕のような世間知らずだと、宮城まり子のことも、また吉行の女関係、人間関係も知りませんでした。
しかし、本書はたくさんの人に薦めたくなるような、好著です。
なぜって?
だって愛に満ち満ちているんだもの。
宮城は天真爛漫な明るさをもって、吉行の横で支え続けていた。
結婚も許されない関係の中だったけど、長い間一緒に暮らして、「淳ちゃん」「まりちゃん」と呼び合う素敵な二人。
吉行について知りたくて読んでいるのに、いつの間にか宮城まり子に視線が向かっている。
吉行が大人げなく怒ったり、言うこときかなかったり、甘えたりしている姿を、宮城が優しい目線で彼女らしい可愛らし文章でもって、書き表しているのが本当にいいな、とおもった。
本当にいい女だな、って思ったし、いい関係だなって思った。
こんな風な感想抱かせた彼女の文章は、そういう意味では「天才的」とまでいえる気がする。
「まり子印の淳之介さん」だなんて言われたらこちらがニコニコしてしまう。
一方で、彼の最後の姿を見守る彼女の話はとても感動的でもある。
僕にとっては、愛についての指南書ですね。
