2008年05月17日

石田衣良『スローグッドバイ』(集英社文庫)


スローグッドバイ
著者名:石田衣良(著)
出版社:集英社
出版年:2005.05
ISBN :9784087478167


爽やかそうな表紙につられて、避けに避けていた石田衣良に初挑戦。
この人は、『池袋〜』シリーズで人気を博していたのも知っているし、
恐ろしいほどテレビ露出度が高い作家さん。不思議だが。
見かけも無難であるし、小難しいこと言わない、不思議なしゃべり方は、
興味深かったりする。

しかし、代表作などのドラマの原作に使われてしまう作品群を眺めていて、
読む気はしなかった。けれども、恋愛もので、
短編なら読めるでしょう、ってことで本作を手に取る。

予想通り、怖いくらいの軽くてふわふわした作品。
性的に奔放な女性や、失恋に苦しむ女性や、
心通わすコールガールや、チャットで知り合った女性とか
扱われている素材だったり、感覚は、普通というか現代の中でも、
落ち着きいいものばかりで、違和感なく、戸惑いなく読めた。

本人曰く
ちょっと甘口でいいから、読み終わったあとで心地よい酔いを残すようなラブストーリーにしたいな
とのこと。
読んでみると、この趣旨も理解できます。

表題作である「スローグッドバイ」が一番リアリティがあって、
爽快でスッキリとした読後感だった。

上手に別れること…
それは、「発展的かつ爽やかな恋愛関係の解消」であって、
具体的には「さよならデート」でバイバイをすること。

意図的であるかどうかは定かではないけれど、
心理描写を省き、横浜の休日デートという爽やかな空気感をそのまま描くだけで、
読み手の想像を刺激して、ちょっぴり切なさを誘う。
セックスも喧嘩もなくて、暗い要素は見当たらない。
後に待ち受けるは、さよなら。
笑顔の涙じゃないけれど、爽やかな涙はやっぱりじんわりくるもんだ。
posted by より at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 石田衣良
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