2008年04月10日

宮本輝『私たちが好きだったこと』(新潮文庫)


私たちが好きだったこと
著者名:宮本輝(著)
出版社:新潮社
出版年:1998.11
ISBN :9784101307121


ひょんなことから、男二人と女二人の共同生活が始まる。
それぞれの個性を保ちながら、相手を思いやりながら、
かけがいのない時間が流れていく。

四人とも、他人を思いやる傾向が強く、
いつの間にか、経済的だったはずの共同生活は、
他人を助けるための借金だらけのものとなっていた。

もちろん男と女だから、すったもんだで、
くっついて離れるわけで、そんなどこか既視感を覚えてしまう物語。
民放のドラマでやっていそうな。

ただし、ささいな嫉妬が大きく膨らんでしまったり、
借金や仕事での苛立ちが恋人に対する態度に出てしまったり、
リアルな感覚があったり、
妙に残る一言があったり、400頁近い長編であるが、
会話を中心とした文章だから読みやすいこともあって、
苦痛になることはなかった。

ロバという登場人物が、恋人の浮気に直面していっていたこと

何かの映画のセリフに、時は、解決してくれるんじゃない。時は、忘れさせてくれるんだってのがあったけど、俺は、時ってのは、忘れさせてくれる力を持つと同時に、やっぱり、何かを解決する力を持ってるって思うんだ(p.259)


そうだよね。時って忘れさせて、解決もしてくれるよね、とおもいながら、
彼らの甘酸っぱい青春劇を読んでいました。
青春って言葉は気恥ずかしいし、いい話なわけでもないが、
やっぱり自分に重ね合わせて何か考えてしまうなにかです。
男女四人の共同生活なんてあまりに現実離れしているけど、
まぁ、悪くもないかと思うのでした。
posted by より at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 宮本輝
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