宮城まり子が選ぶ吉行淳之介短編集 著者名:吉行淳之介(著)
宮城まり子(編集)
出版社:ポプラ社
出版年:2007.07
ISBN :9784591097854
ここんところ、吉行淳之介が好きなのか、それとも宮城まり子が好きなのか、
わからなくなってきていたのだが、まさにその二つの気持ちをかなえてくれる本が、
ありましたので、手にしてみました。
宮城さんの序文がついていて、彼女の編集のもと、吉行の代表的な短編が編まれている。
短編は大体読んであったので、やはり引き込まれたのは、宮城の序文。
しつこいようだけど、彼女の文章は、天才的というか奇跡的ともいうべき素晴らしさで、
すぐさま彼女の気持ちが読者であるぼくを包みこんでしまった。
著作権やらよく知らないけど、問題かもしれないが、
すばらしすぎるので引用させてもらいます。
(…中略…)これは、本当に夢のような話だけれど、私、私が、選んで、これを読んでくださいっていいたくていいたくてがまんして、それが、夢が本当になって、ここに一冊出来ます。ただ、愛しているから、ただ、愛の表現がこれ。この御本、誰が、なんてったって、これ、あなたへの愛のかたまり。
なんですか、これ、って突っ込みたくなるくらい素敵な言葉たちです。
泣けます、これ。しびれます、びりびりと。いや今もしびれております。正直なところ。
宮城について書くのは脱線であるし、少々気違いじみてくるので、
初めて読んだ短編について少々。
「手品師」は、作家である倉田が偶然出会った少年の淡い青春の恋について。
手品をしている少年は、英子というバーにいる少女に恋をしている。
礼儀正しく好青年であるのだが、少年ぽさも抜けず、童貞だ。
しかし、恋した英子は、既に「赭ら顔の禿げた頭の男」と関係を結んでいたのだった…
切ない話。純粋な少年と、見かけは少女でも既に大人の女の話だから
結末は見えているのだけど、こういう苦い感じ、切ないです。
「紫陽花」とか「菓子祭」もいい作品で、「寝台の舟」、「鳥獣虫魚」など盛りだくさん。
真赤な装丁もいいし、入門にはとてもいいのだろうな、と思いました。
